春の廃村
本木はじめ

いつまでも辿り着けないきみがいる村の名前も思い出せずに


寒村に降りだす雪の音階で深いねむりに落ちる 失恋


村々が燃えてゆきます雪の夜ひとつの火の粉とゆう名のあなた


赤い傘まもなくひらく廃村で濡れてないのはきみとぼくだけ


湾曲すカーブミラーを覗き込み今日で最後の化粧するきみ


廃屋の軋む柱に寄り添ってあなたがくれる白い毒薬


結び目をほどくそばから飛んでゆく蝶を見ている春の廃村


エンディング探して春野山をゆくきみの死体が少し重たい




短歌 春の廃村 Copyright 本木はじめ 2005-04-01 19:24:35
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