空想低音
両性具有

君の肉を啄みたい
それだけを望んでいる夜だ
その粘りの強い白い肌を
悦びに打ち震えながら咀嚼して
聞いたことのない心地よい音楽を
孤独なままに聴いていたい
栄養の足りない夜行性植物が
淫らな舌のようにからみついて
静かな放心の水底に
君の髪を張りめぐらせる
やがて夜空に裂ける
色鮮やかな生殖器の香りが夜風にのってやってくると
ぼくは、酔い誘われたぼくは
強靭で矮小極まりない
一匹の羽虫になり下がる

君の肉を啄みたい
嘴が必要だ
鴉のように獰猛な嘴が…
そればかり望みすぎて
何のために飛んでいるのか
わからなくなる夜だ


自由詩 空想低音 Copyright 両性具有 2019-06-25 00:00:18
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