『秒速30万キロメートル』
ベンジャミン

 
なにもしていないとき
いえ
なにもできずにいるときの

わたし
秒速ゼロセンチメートル

部屋にうずくまって
きれいな体育座りの姿勢で
うつろな世界を
うつろに見ることもしない

ひかりのはやさ
秒速30万キロメートル

想像もできないくらい
いえ
想像ならいくらでもできる

想像もしないでそこにいる
そこにいるだけでもできる
想像することすらしないで
きれいな体育座りのままで

世界はもっと鮮明だった
うつろな世界はうずくまったままの

わたし
秒速ゼロセンチメートル

想像しろ創造しろ騒々としろ

おとなしくしていれば
大人らしくしていればなんて
安全圏なんて存在しない

想像しろ
秒速30万キロメートル

地球を7周半まわれるくらい
本気で想像しろ

そうしたら
何周目かでたどりつけるかな
そうしたら
何周目かで誰かと会えるかな



  (青年詩片より)

 


自由詩 『秒速30万キロメートル』 Copyright ベンジャミン 2019-06-12 15:14:15
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