梅雨空に
そらの珊瑚
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした
それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた
あれはやっぱり声だった
命は生まれてから
引き算や足し算を繰り返して
ゼロになる前に
ぎゅっと何かをふりしぼる
いっとき銃撃戦が途絶え
梅雨空は
白いやわらかなまぶしさ
想い出すのは
巣立つ前に墜落したあの子の
空気みたいなぬくもり
自由詩
梅雨空に
Copyright
そらの珊瑚
2019-06-08 10:46:12
縦