虹色の白鳥
印あかり
【虹色の白鳥】
遠い海に、虹色の白鳥がいるという
羽はとろけるようにやわらかく
飛ぶようにはつくられていない
青い夜を泳ぎつづけて
ああ、まるでひとりぽっち
そういう思いに羽が沈みそうで
白鳥は泣きもせず
じっと浮かぶことにしたという
【琥珀のモンシロチョウ】
美しいよ、と言われても
わたしは白くなりたかったの
そう言って彼女は
曇った日差しの中へ羽を差し込めた
【青色のカブトムシ】
この角で
空を割ってしまえたらと
そう願うのでした
天使の影があちこちに落ちる
午後の草原でひとり
角を磨き続けるのでした
苦しくて
苦しくて
悲しくて