ノーカットフィルター
ねなぎ

圧された湿度に水分を奪われながら
移り行く言葉を考えていた

偏光さえ失くしたら
計算した屈折率さえ
間違えているのだと知った

声を上げることすら忘れて
息を飲んで悔やんだままだった

近赤外の反射が強くなり
青々とした葉緑素の中で
歪みが揺れるのを思った

忘れていた空は静けさに濃く
重く沈み込む
苛立ちに似た憂鬱を透過させ
現実だけが突き刺さった


自由詩 ノーカットフィルター Copyright ねなぎ 2019-06-06 02:10:34
notebook Home 戻る