ソノシート
イオン
「部長、なんですか、ソノシートって?」
「あぁ、知らないかな」
「あっ、スマホで検索すれば
あぁ、レコードじゃないですか」
「レコードだけど
レコードじゃないんだよね
雑誌の付録で付いていてね
レコードって厚みがあるだろう
それがない紙一枚のようなものでね
堅いレコードの上に乗せてかけるんだ」
「今の付録CDみたいなものですね」
「そうだね
ただね、当時は子どもに
家庭の格差を感じさせるものでね
レコードプレーヤーのある家は
文化的に豊かな家でね
僕の家には無くて聞けなかった」
「あぁ、情弱ですね、昔も情報格差があったんですか」
「そう、だから続きはWEBでみたいなの
すごく許せない」
「そうですか
情報商材の時代ですからね」
「ソノシートってね
青や赤で透き通っていてね
音の入った溝が綺麗なんだよ
窓ガラスにセロテープで貼って
眺めていいると心の中に音楽が流れた」
「あぁ、そうですか
そういう渇望が部長の原動力なんですね」
「まぁな、
でもソノシートみたいにペラペラなお前に
わっかったようなこと言われると気持ち悪いな」
「すいません、会社の付録ですから」
「まぁ、付録があるから
買ってくれる人もいるしな」