イファラーナブル
竜門勇気


君は自身の悲劇を語るとき
この街の特性について語る
それは検証可能性がない話で

例えば、この河原で並ぶ恋人たちが
こんなふうに均等に間を空けて座っているのか
それはこの街が腐ったひね者でが集まった村だからさ
村?歴史に残ってないだけでここはかつてそんな場所だったのさ
だから彼らはお互いは傷つけ合うことを知っているんだ
ただ近づくだけで

気持ちのいい昼間に歩くときには
そんなことを聞きながらいるのが心地よかったりもした
昼間にはどこでも行ける
昔行けなかった岡ビルへ足を向けた
とても古いビルだがそこに入っている店に並ぶものは新しい
インド料理屋もあるんだ
僕は入ったことがないがビリヤニがうまいらしい
雨が何度か街を洗う
三度降れば三度濡れる
気持ちいいってのはつまり、そういうことだ

君自身の悲劇は
とても魅力的で
見えていて逃げられた
魚を100万匹集めたくらいに
掻き立てられる焦燥を
眉間に流し込まれてるみたいだ

何もなかった人生も
チャンスの連続に見えてくる
同時にそれを
逃し続けてきた失敗の日々のようにも見える

この街は
君から全てを奪った
僕からも
それはあまりにもたくさん与えすぎたからだ
これからも失敗し続けよう
その悲劇に手をつなげるようにして


自由詩 イファラーナブル Copyright 竜門勇気 2019-05-19 17:31:09
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