相談
墨晶

 
 
 オガワが 拙宅に来た

 相変わらずの巨体だ

 顔もデカい上に 声もデカい

 台風の夜の鳴り止まない雨戸の騒音のような男だ


「 キタねえ部屋だな 」
 
「 うるせえ 何だ 用件って 」


 暑苦しい男が厚かましくも

 わたしに相談があると云う


「 実は 病院に行ったんだ 」

「 痛風か? ああ 糖尿な 」

「 ちがう 」

「 アレか 双極性ナントカか 」

「 それはどうでも良い 」

「 ・・・・良かねえだろ 」


 用件をなかなか切り出さないと云うことは

 絶望的にくだらない相談だろう

 休日のわたしは飲酒で忙しい

 オガワは迷惑千万な男である


「 ちょっとこっちの部屋借りるぞ 」


 オガワはそう云うと

 わたしの寝室に入り 戸を閉めてしまった

 ドタドタバタバタ やかましい

 何をしているのかわからないが

 やがて 静かになった


「 おい? 」

「 あ ああ ちょっと待ってくれ あと少しだ 」


 オガワの声は狼狽している
 
 
 


自由詩 相談 Copyright 墨晶 2019-05-02 00:21:36
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