やわい そら
吉原 麻

音を形容する言葉が足りない と君は 喉をならしてビールを飲みながら 言う
君の発する言葉 そのもの が音でしかないから 仕方ない
めがねのつるをつまんでふりまわしたら 机のかどに当たって レンズが割れる
そのときの 空気と温度と君 のまざりあう 点
さっぱりわからないな と さっぱり を強調して言う君は いまどき珍しく携帯を持っていない
誰かからかかってくると とるとき怯えちゃって 結局出られない
だから持たないの メールは便利だとは思うけど ね
君のかたむいた帽子のつばをなおす 僕の手を強くふりはらって
これくらいがいいの と怒る
ぼくにはその これくらい がさっぱりわからないな


自由詩 やわい そら Copyright 吉原 麻 2005-03-30 22:45:07
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