潤むモザイク
ただのみきや

雨は解かれる時間
こどもたちの声の重なり
散る 花のモザイク
煙は祈り 空は響かず
水は光を乗せて黒く笑う
蛇のように去る なめらかに


井戸に落ちた人
井戸が歩いている枯渇した
死臭を隠し
人は風を掻き分ける
海辺まで来て
開いた 過去が裂け


景色の裏側の白紙
蹄が刻む砂浜と鳥の視点
無花果を剥くように
手の中の痛点
限りなく流れ出る虚実の
血の青さ



          《潤むモザイク:2019年3月31日》









自由詩 潤むモザイク Copyright ただのみきや 2019-03-31 09:14:28
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