冬の熱病
Sisi

やはりあなたであったのだ

金魚のように
ひらひらひらりと
わたしの世界を翻弄するのは

あの冬の、最後の空をもって
鍵穴を持たない錠を
解くことができるのは

或いは、時を超越して
花弁を千切るわたしを
つかまえることができるのは

あなたしかいなかったのだ


なのに不思議なこと
もうあなたの声さえ、思い出せないなんて





自由詩 冬の熱病 Copyright Sisi 2019-03-14 00:49:12
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