この春日に(改訂)
ひだかたけし

一雨毎に深まりゆく
この春日に佇んで
私は浅く息を継ぐ
虚脱の朝に不安な昼に
剥ぎ取られてしまった色を探し

記憶の奥の入学式
通り過ぎてく畑の野草
お母様と手を繋ぎ
降っていた降っていた
明るく柔らかな陽射し、
降っていた
色褪せはしない遠い日々
世界に居着き憩っていた
ときめきながら憩っていた

一雨毎に深まりゆく
この春日に佇んで
私は深く息をつく
憂鬱な夕に恐怖の夜に
剥ぎ取られていった毛布を探し

(世界から放擲されたこの俺は
巨大な宇宙の夕焼けを観る)


自由詩 この春日に(改訂) Copyright ひだかたけし 2019-03-09 15:41:13
notebook Home 戻る  過去 未来