愚か者
梓ゆい

戦争末期
遠い南方の密林で銃弾を浴び
そのまま朽ちて骨を晒続けている私の伯父。

行きたくなくても
行かねばならなかった
国からの命令。


(国家はいつも、民衆を置き去りにする。)

50年経っても
100年経っても
何一つ変わらないのだ。

私の腕に抱かれて
ぎゃあ・ぎゃあと泣いた甥っ子が
老いた私の手を引いて
転ばぬように
先を歩くこととなっても。


自由詩 愚か者 Copyright 梓ゆい 2018-12-04 18:44:08
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