ミナト 螢

マスカラの羽根がまつ毛を広げて
飛び出そうとするロケットの軌道

瞬きの数が増えるその度に
大切なものを見逃したから

涙で滲んだ黒いカラスが
目尻に落とした旗を掲げる

異物の入った瞳は痛くて
瞼が呼吸を止めそうになる

膨らむスカート巻き上げる煙
音のない風が旗を踊らせて
宇宙なんて目指すんじゃなかった

小さな線を描いてく暮らしに
満足できるような力を足して

シャープペンシルを立てることでまた
しゃぼんの中へ入ってゆけば良い

裸のままのまつ毛のカーブを
虹色の自転車で走りたい


自由詩Copyright ミナト 螢 2018-11-11 08:40:03
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