そう言えば俺は
こたきひろし

そう言えば、俺は嫁さんにプロポーズなんてした記憶がない
気がついたら籍を入れて夫婦になっていた

気がついたら長女が産まれ
気がついたら次女が産まれていた

気がついたら、アパートから建て売りのマイホームを買って家族四人で棲んでいた
気がついたら娘二人は成人していた

気がついたら嫁さんは相応に歳を取り
気がついたら俺も同様に歳を重ねた

気がついたら俺も嫁さんも
両親共に他界していた

そう言えば俺の人生は
成り行き任せ
その時々の風に飛ばされてきた

幸福って、聞かれてもよく解らない
実感した事がない

幸福の反対なら死ぬほど味わった

気がついたら
黄昏の空の向こうには
黄金の輝きが
見えて来ていた

あれは
夢か幻か

誰か教えてくれ
俺の人生はいったい何だったんだ



自由詩 そう言えば俺は Copyright こたきひろし 2018-10-06 00:01:14
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