ぼくの終わる日
言狐

夏は嫌いだ。
だから死ぬなら、突き抜けた青い空がどこまでも続く夏の日がいい。
死に方はなんだっていい。じぶんで自ら命を絶とうが、誰かに命を奪われようが。
だけど、死ぬ場所は室内がいい。
窓に四角く切り取られた空を見ながら、息絶えたい。

ぼくの息が止まるまでの、少しの間。ぼくは言葉を交わす。
相手は、嫌いな思い出達と好きな思い出達だ。
嫌いな思い出達には「ありがとう」とは絶対に云わない。
ぼくが死ぬ頃には、嫌いな思い出たちもぼくを為す一部となっているだろう。
だから、たぶんありがとうをいわなきゃいけない。だけど云わない。
多分「君と別れることができてせいせいした」というような言葉を云うと思う。
彼はたぶん、ぼく以上にぼくのことがわかっているから、きっと「俺もだよ」なんて言葉で返すだろう。それで、終わりだ。
好きな思い出達には、ぼくと一緒に来てもらいたい。だから、お願いをする。
すると彼女は少し悲しそうな笑顔を浮かべて「うん」と云うはずだ。
断られてしまったら、ぼくはひとりで向こうへ行こうと思う。
できれば、彼女はいつまでもぼくと一緒にいてもらいたい。

そして、最後。
ぼくの息が止まるその瞬間にぼくは大嫌いな夏の空に告げる。
「ざまあみろ」って。
そうして、ぼくは死んでいきたい。
だから、ぼくが死ぬなら突き抜けた青い空がどこまでも続くような、
そんな夏の日がいい。


自由詩 ぼくの終わる日 Copyright 言狐 2018-09-16 18:18:41縦
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