減速
たもつ
心臓の近くでセミの声がしている
冷蔵庫を開けると
大きめのロブスターが、ヤー、ヤー、と
おもちゃの銃を振り回しているのが見える
いつだって無邪気な者には罪が無い
野菜室からよく冷えたキュウリを取り出し
マヨネーズをつけて食べる
君の着ていたものは
すっかり色が抜け縮んでしまった
今すぐ帰ってきてもいいように
毎日洗濯して
畳んでいるから
ふと何かを追い越す気がして
減速する
窓に残された手形は誰のものだったか
君だけが知っていたのだ
自由詩
減速
Copyright
たもつ
2005-03-24 17:48:54
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