寿司屋にて
嘉村奈緒



 感情の吐露です
  それは美味いのですか
  脂がのってるのですか
  私は場違いではありませんか
  大将、
  はちまき ずれていますよ
  ずれているのは何だっけ
  そうだ
  吐露だ
  とろだ
  トロをくれ
  美味いやつだ
  のってるかい、大将
  いや、脂がだよ
 懸命でした
 それは小さなでしたけれど
 しっかりした気持ちでした
 腹が胸が
 いっぱいになりました
 トロではなく
 吐露です 私は
 人間ですから、大将
 伝わるものも伝わらず
 私、
 いっぱいになって
 溢れてしまったのです
 いえ、気持ちがです
 受け皿をくれ
 受け皿をくれって欲して
  いえ、
  彼女は
  寿司が嫌いなようです
  トロが嫌いなようです(  吐露?)
 こうやって巡り巡る皿に
 ひからびたてらてらが
 まるで大将
 私のようではないですか
 感情が です
 、
 いえネタではないですよ
 むしろ私 です
 トロ です
 この受け皿にひからびた
 身を投げ出し
 さらけだした
 感情のトロです
 ずれていませんとも
 腹は八分目ですとも
 いっぱいなのはトロです
 だから 私
 感情を食うのです
 このてらてら
 受け皿に身を投げ出す
 私

 大将、私、あがりです。
 





 


自由詩 寿司屋にて Copyright 嘉村奈緒 2003-11-18 19:44:46
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