緑と青
水宮うみ
どうにも詩が書けないので散歩に行くことにした。
外は、晴れ晴れとしていて、言葉を忘れるくらいに平穏だ。
雑草の生き生きとした緑。空のまっさらな青。そういったものに見惚れる。
風景は言葉のいらない詩集だった。
ふと気づけば、びっしょり汗をかいていた。お盆を過ぎたとは言えまだ八月なので、やはり暑い。
汗をふきながら、僕は社会に暮らす人間である前に、動物なのだと実感する。
言葉を覚える前の動物のように詩を書きたいと思う。
体から汗が出るように、嬉しいと笑みがこぼれるように、言葉を自然に綴りたいのだ。
そして、読んだ人に思い出させたいのだ。こどもの頃を。動物の頃を。
緑や青のきらめきが、僕に度々思い出させてくれるように。
家に帰って、僕は僕に戻る。
また、書ける気がする。