星
田中修子
いまおもえば
恋人だったようなひとに
レイプされていて
いたくていたくて
ともだちのなまえをさけんだら
もっと興奮させろと
はたかれるのだった
腕は血まみれになって心臓が痛いのだった
おなかを石で思いっきり殴るのだった
お母さんとお父さんが
「ふたりのため」と
へやをくれ
「うちにはぐあいのいいときだけおいでなさい」
って
仕事が終わると
帰るところがなくて
真冬で、公園で
ブランコこぎながら
ビールを飲んでて
みあげたら
頬を切るような風がふく深い夜に
めくばせくれる星があって
星になれたらいいなぁ
と
公園のくさむらで
ありったけ
薬をのんで
ねむろうとしたら
葉擦れが囁いてくれて ねむれずに
なみだがあったかかった わたしはまだ生きていた
お母さんみたいに高圧的
お父さんみたいに依存的
あなたお母さんとお父さんを
恋人みたいなひとをとおし
ほんとに命がけで
愛そうとしているけどそれは愛ではないのよ
と
継母がくちづけてくれて
ゆめからさめたゆめ
というよな話しをしたら昔はよく
「可哀そうだから
記憶を塗り替えてあげるよ」
とからだに手を差し伸べる人が
あんまり多くて
ずうっと
舌を食んでいたのだけれど
このごろ、ただひたすらに
こわかったのを想ってくれようとする
友だちができて
かなしかった
わたしは
とても
いとしい
自由詩
星
Copyright
田中修子
2018-08-15 11:45:27
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