ぱじゃまものがたり
田中修子

あたしは
きふるされて
くたくたになりすぎた
白地に青い花柄の
綿のぱじゃま

ひとめぼれされて
このおうちにやってきたわ

このひとと
ねむるときずうっといっしょ
かなしい夜さみしい夜
たくさん見たふしぎな夢
こぼした涙のぶんだけ染み込んでいる

あるひ
なにをおもったか
黒い糸をとおされた
銀色の針がやってきた

ちくちくぬいぬい されている

そで えり すそ そでぐち

ちくちくぬいぬい へんなきぶん

「もうしばらくいっしょにいて
ぱじゃまさん」

とりあえずソファのカバーになってあげる

黒い糸はアクセントに
しかしこころがまがっているからか
まっすぐに縫われていないわ
しかたないわねえ

さいごは
ぬいぐるみになってあげるわよ

そうして
また
いっしょにねむってあげるわよ


自由詩 ぱじゃまものがたり Copyright 田中修子 2018-07-03 23:33:46
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