春の背泳ぎ
本木はじめ

春分の朝のひかりが桃色に染め上げてゆく雲を見ている


結んだ髪に椿を挿して出掛けましょじんこうてきなダムを見ましょう


最短で森の迷路を抜ける道あなたが選ぶ毒の木いちご


ばたついて溺れているね白鳥も僕もあなたの瞳の中で


向こう岸にあなたがいると仮定して背泳ぎをする まぶしい太陽


森の中さまよい歩き摘み取った花束燃やすそんな恋です


湖の底をふたりで散歩しよう溺れるように微笑んでみて


満開の桜の下であやとりをしてたねぼくらがひとだったころ


ふりかかる火の粉を払う素手ゆえに痕になるかもこの春の恋




短歌 春の背泳ぎ Copyright 本木はじめ 2005-03-22 01:50:12
notebook Home