泣いてもいいのに
秋葉竹


突風で
崩れる身体を抱きしめて
貴女は信じる 泣いてもいいのに




かぜはふく。
ふときがつくと、あなたはいない。

永久凍土にあこがれている、
じぶんをまるですて猫みたいと

自嘲しわたしとうなずきあった
にどめのりこんをきれいにおわらせ

ちいさくほほえみ
こえを、なくした。

あなたがいない
せかいは、いやだ。

ゆたかなこころの日はとおい、
らくえんから来た孔雀のよう。

おおきな羽をはばたかせ、
どこかの世界へ舞い降りる。

あなたはどこへ
消えたというの?



たったひとりでしぬまでいきる
かたるあいてもいないよる。

明けないよるは ないはずなのに
あなたは明けないよるにいる。

あなたが いない、
せかいは、いやだ。

わたしは、あなただ
あなたとおなじだ。

このあたたかい、明かるいせかいは、
陽気にすぎて、なじめないんだ。

かぜをおこして、かぜにとびのり、
あなたをおいかけ、異界へゆきたい。

あなたをおいかけ、ゆきたい異界へ
わたしのしかくで、いけない罪ゆえ。



そしてわたしは、このばでこどくだ。
にどとあえない、ひとりの女性だ。

さいあいのひとを、おもいでにする
そんな大罪、わたしはおかした。



もう、いい!
もうしらない。



とにかくすて猫、
よくききなさいよ。

わたしは、あなただ
あなたとひとつだ。

いつまでだって、いつまでだって、
わたしは、あなたを、ひとりでも、待つ。

ひとりで待って、くさっていくなら
くさったわたしで、むかえてあげるね。

後悔しない、後悔しない、
わたしはわたしを後悔しない。





突風で
崩れる身体を抱きしめて
貴女は信じる 泣いてもいいのに






自由詩 泣いてもいいのに Copyright 秋葉竹 2018-05-02 22:12:56
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