地震直後
小池房枝
歴史にもしもはないという
死傷者の数はこれから増えていく
けれども
出来ることは出来たのだと思う
病院はくずれていなかった
街は街ごと崩れてはいなかった
死んでしまっていたかも知れない人たちが
多く生きていられた
初めてだけども
不意打ちではなかった
一日は冬の早朝ではなかった
人々は夜と冬を迎える寸前ではなかった
直下型ではなかったし津波も来なかった
そして何よりも
不意打ちではなかった
助かったという危うさを覚えることもなく助かった人たちの多くは
過去の地震に助けられた人たちだ
死傷者の数がこれから増えていくとしても
倒れたものを立て直すために
これからまたどれだけかかるとしても