葉leaf


桜はこの世で最も美しい海である――
眼前に広がる一面の桜は
陽を抱いて獣の眼のように輝く
桜についてはすべてを語ってしまった
桜はすべての記述を包摂してしまった
私は桜の限界に立ち
桜に隅々を満たされ
これ以上発する言葉を持たない
花見の太鼓はひるがえり
人形たちは踊りやまない
もはや語り尽くしてしまった桜について
さらに語り初めていくということ
桜の限界に立ちながら
桜の限界を超えていくこと
表現とは
そのような鋭い突き破りの連続であったか


自由詩Copyright 葉leaf 2018-04-22 16:18:36
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