防護林
渚鳥

霧雨と、海の匂いと薄い雲
みどりの針
風向きを解いている


世界は、計算するあてもないかのようです
厳しい風雨に擦れた跡を渡ろうとすれば

みどりの針がいっそう震える
道を忘れたのは私ですか


父は写真の中に居るのですか
私はどこを歩いているのだろう


道が私を忘れたのですか
あちらこちらでみどりの針が震え

薄い空のしたで
みどりの残像が編んだ塀

世界の切れ端を紡ぐ声



(霧雨の理由を知りたげに
松葉の針の緑色は震え、
ぼんやりと歩いている私の理由さえも
ほどいてしまいそうだった)



自由詩 防護林 Copyright 渚鳥 2018-04-16 12:13:44
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