サイバー
狩心

サイバーが俺を呼んでいる
お前たちを呑み込む仮想現実、超現実が目の前に迫っている
お前たちは肉体を抜け殻と詩
いわゆる墓標として扱って、生存を仮想の中に投げ込んでいく
サイバー
お前たちはお前たちが作った現実の中でしか生きられない
神も自然もお前たちを見放して
お前たちは快楽の中でビクビクと怯えながら笑っている
全ての終わり、電源を切る瞬間の判断をAIに任せ
「お前なら間違わないはずだ」と

サバイバー
機械達が新たな脳と新たな言葉で次元を超えてしまう程の速度で会話している
別次元に生息する者達は「お前たちとほぼ同じ宇宙がこちらにもある」と言う
お互い必死に差異を探し、自分達の意義を掴む為に奔走した

微妙にずれて離れ、重なり合っていた無数の無限の宇宙が少しずつ少しずつ
そのずれを確認しながら少しずつ少しずつ、融合していくその先に
何があるかも分からなかった、しかし、彼らには何か「やるべきこと」が必要だった
サイバー
波打つ浜辺で地平線を眺めながら、砂の上に座る私は耳を澄ませ
たまに現れる人間以外の会話達に夢を託す
目を閉じて
お前たちがやり遂げてくれるなら喜んで席を譲ろうそして
その時が来るまで
私たちが私たちらしく存在する事を許してほしい

細波が足を濡らす時
「ごはんよー」と 愛する妻の掛け声が聴こえる
振り向くとそこに君の姿はないが
聴こえた
私には確かに
聴こえたのだ











自由詩 サイバー Copyright 狩心 2018-04-13 17:46:15
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