そんな時は
鶴橋からの便り

そんな時は 薬を一錠多くのみ
明日の仕事に備えたほうがいい
働くといっても 決して無理はせず
職場で働いているふりでもすることだ
あまりにも生真面目な僕たちは 休んでしまうと
小さな そして大きな自責の念に押しつぶされてしまう
職場はリハビリテーションの場くらいに割り切って
決して無理をせず 働いた方がいい

「明日 西日本に今期最強寒波襲来」のニュースが
流れる我が家に 疲れて帰ってきた君に
病弱な君の妻が「明日の買い物一緒に行ってほしい」とせがんだなら
「夕食を食べてひと寝入りしてから考える」と少し突き放すといい
酒はいつもより少なめ
食後の薬を一錠多くのみ一時間ほど深く布団に横たわろう
大きないびきをかけばいい
そして目覚めたら 買い物につきあってあげるように
ただし テキパキと買い物は終え 多くを語らず 再び布団に横たわろう
そら 眠りがそこまできている
一時間もすると君の妻に起こされるから
その時には乾いたのどを冷たくない水でたっぷりと潤そう
四二度の湯船につかり 一息ついたら いつもより遅く眠前薬をのみ眠りにつこう
君は夢の中 夢見が悪くても 朝厳寒でも 職場に出かける準備をしよう
つれあいが「無理してないの?」と問えば「大丈夫」とだけ小さく強く答え
職場という名のリハビリテーションの場へ出かけよう
明日は給料日だ
明日は休みうまい肉でも食べればいい
君の妻も満足することだろう



自由詩 そんな時は Copyright 鶴橋からの便り 2018-04-08 16:09:36
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