塔野夏子

断崖のふちに
ぽつんと一つ置かれた白いベッドで
僕は目ざめた
僕の上には
途轍もなく青く明るい空だけが
広がっていた

僕はベッドの上に坐ったまま
何も考えられずにいた
すると
空のほとんどを覆うような巨大な飛行船が
僕の頭上を
ゆっくりと横切っていった

何も考えられずにいた
ただ目ざめるまで見ていた夢のなかで
なぜか僕は激しく泣いていた
そのことだけが思い出された




自由詩Copyright 塔野夏子 2005-03-19 13:58:19
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