Alpha
もとこ

生まれる前の闇に
ぽつ、ぽつぅんと
浮かんでいる
光の結晶たち

(すっかり消費されてしまったね)

アタシの葉脈を
衛星軌道上から観察した彼が
火曜日の声で呟く

(きっと
約束は空を飛べないだろう)

半額になったアタシの
緑の指に口づけをして
かつての密告者たちと
同じ背中を見せながら
彼も遺跡へ旅立つのだ

(アタシは座標になりたかった)

黄ばんだ契約書を
暖炉の火に投げ込んで
壊れたように繰り返す
誕生の瞬間の声で

何度も繰り返されてきた
(始まりの前からずっと)
そして繰り返されていく
(終わりの後もきっと)

いつしか風が止み
獣たちの影が
静かに横切る夜明け


寂しい、と
口にしたら
消えてしまう結晶たちが
アタシの中で
そっと
光りはじめる


自由詩 Alpha Copyright もとこ 2018-02-21 13:07:59
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