水虫ジュク夫「ミニマル自称詩」
花形新次
厚手の
ソックスで
蒸れた
足指の間
沈黙
(か、ゆ、い)
ふやけた
皮膚の下に
流れる
体液
水虫の
水
掻いた
指を
嗅ぐ
ジュクした
足指の
におい
と
少し
血のにおい
沈黙
(か、ゆ、い)
掻いた
指を
嗅ぐ
少し
血のにおい
掻いた
指を嗅ぐ
(か、ゆ、い)
掻いた
指を嗅ぐ
ひりひりとした
痛み
掻いた
指を嗅ぐ
水、水虫の
水
体液、血
皮膚が
床に
落ちる
か、ゆ、い
掻いた
指を嗅ぐ
爪に溜まる
皮膚を
捨てる
(止められない)
掻いた
指を
嗅ぐ
指を嗅ぐ
においに
慣れて
指を嗅ぐ
指を嗅ぐ
(か、ゆ、い)
指を嗅ぐ