情熱
鷲田
老人の顔に刻まれ皺は
都会の橋の上を歩く雑踏の記憶
人々はただ行き
ただ交わる
日常の乾いた吐息
笑いが消えた70年前の白黒の写真
そびえるビルのアスファルトは
感情を持たなかった
癪になり
俺はそいつに唾を吐きかけた
残された灯
寒さが見つめる彼方は
忘却した頃に
体に染みこまれる
感覚、おお、感覚よ!
おまえは決して嘘をつかない
それは永遠の真実だ
飛び回る鳥は空の上で死んだ
生きるとは現実ではない
見えない彼方への疾走である
それは未来へと続き
それは過去を遮断する
景色が物語る
電車の音
家の明かり
捨てられる愚痴
俺は決して死なない
俺は決して死なない
未来に描かれる一つの絵の
一つの情熱