薄皮饅頭
藤鈴呼


空気の膨張する季節には 
おしくらまんじゅうの息苦しさよりも 
少し 穴あきの 心たちの方が 
自由発想を 発送できるのかも

呟いたままで ぎゅうと詰めた餡
本当は 粒揃いの方が お好み
知っているけれど 今日の濃さは
粒餡じゃあ 表現できないんです
どうか 諦めて くださいませんでしょうか

丁寧な口調で ノーと告げる悪魔
それは素直な真実だから
イエスマンの笑顔よりも きっと晴れやか
明かり取りが 上手く行かぬのは 冬の所為
雪で埋まってしまって
間接照明が 言うことを 効かないの

上皮餡から透ける腕が見えない
鍋を振るう度に重なる重石
増えるばかりの苦痛を練り込んだら
納豆のように糸を引いてきた
あなたとわたしの台詞
一体 何処からが 笑える真実?

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自由詩 薄皮饅頭 Copyright 藤鈴呼 2018-02-07 16:38:14
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