色彩論
成澤 和樹

晴れすぎた日の、透明な向日葵の光線
視界を焼くカーテンを抜けていくようだ
熱に揺らぐ交差点
人々はもう、記号にしか見えない
人々はもう、色にしか見えない
何を言ってももう、正しくはない

一次元(シンプル)に創られた
簡素なまでに、立ち並ぶ
考えるまでもなく、色がある
言うまでもなく、あるがまま
それが正しい、色彩論

白い鳥にコンクリートの影がよく映える
羽はまだ、白く見えるだろうか
勝手に影を差し引いた
羽はまだ、あの羽は、白いと言える
そんな眼は、正しいのだろうか

ホントウのことが見える眼は
この世界では通じない
デジタルな世界では
あの人々は、記号は、白色
あの鳥は、羽は、灰色
それが正しい、色彩論

人々はもう、記号にしか見えない
人々はもう、色にしか見えない
何を言ってももう、正しくはない
それが正しい、色彩論


自由詩 色彩論 Copyright 成澤 和樹 2005-03-17 19:37:40
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