1998年
間村長

片目を射抜かれたので
精肉部門に逃げ込んで
働かせてもらうことにした
精肉部門では隠れてカイコを
飼って居た様で
絹糸を秘かに作って居ると言う噂だった
私はシルクロードに居る様な気分で
プライスタグを貼ったり
肉の塊を細断したりしていた

やがて訪れる法事に私はうろたえる
正座をしないとしばかれるし
ダンテの神曲読んで居ると
取り上げられるからだが
秘密の基地の里だけは守りたかった
そんな少年らしい気分で
精肉部門で働いたり
法事に日参するかのように読経を
していると
1998年と言う年もあっと言う間に終わってしまった


自由詩 1998年 Copyright 間村長 2018-01-02 15:19:28
notebook Home 戻る