紙の舟
そらの珊瑚

キミが折った舟が
わたしを載せて
すべるように小川を下る
冬にさしかかれば
時間が凍らないようにと
祈る
どこへ向かっているのか
きけばよかった
それはたぶん大切なことだったのだと
きづくのは
いつも発ってしまってからなのだ
たとえば
キミが飛行機ではなく
なぜ舟を選んで折ったのか、とか
特に理由なんかないのかもしれないけど

キミの指のあたたかさを
離れて想う
キミの指紋だらけの舟で
眠れば
さよならしたことを
忘れてしまいそうになる

儚さに揺らされ
錯覚はいつだって素敵
さざ波は、子守歌
たった一枚の紙こそ、強く
雪は、温かい
命という命は
どこかへ向かいながら
永遠という場所にとどまっている



自由詩 紙の舟 Copyright そらの珊瑚 2017-12-29 13:28:07
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