檸檬玉
藤鈴呼


甘酸っぱい何かを
めくるめく味わいに替えるために
必要な甘露

葉脈に吸い込まれた
小さく白い卵
底から何が 産まれ出るか
分からないのに

怖くは無いのか
逃げたくはならないか
語りかける時間が 見つからない
ただ 見守ることしか
出来ぬ夕べに

川岸に 黄色の浮き輪が見えた
浮かんでは沈み
沈んでは浮かんで来るかに思えた
いや
そう 信じたかっただけだ

思いは夢の中に溶け
コロコロと 舌の上を転がす
飴玉の雫

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自由詩 檸檬玉 Copyright 藤鈴呼 2017-12-19 21:07:29
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