シクラメンは春まで待っていて
ふじりゅう

子供の頃に買った

絵本の片隅に逃げても

それでもまだちょっとたりない

消しゴムでかき消したいけれども。





ほら。

いくよ。


だってしょうがないじゃない。

お前というやつは…

いつも…


ちがう!


しあい?

うん、勝ったよ!

やったな…

そうか…

うん…




支点

力点

えーと


だりいな…

やっぱ?


わかるー


これは?

だめだよ。

なんで?


お前が、大人になれば、分かる。


ふぅ。


近づくなよ!


知らねえ。


何やってんだ!


お前というやつは…


僕はそうじゃない…


くそっ…


これは……?


うわぁぁぁぁぁぁあぁあ





チッ


ざけてんじゃねえぞ


うぜ

だっりー


ちょ、マジなんもしたくねえ


ウソ?

え、それやばくね?


ブリーチは?



カフェオレ、ココアどっちにする?



お前はがんばった。

今はそれだけでいい。


そっか…





はい、やらせて頂きます!


久しぶりね、ずいぶん。


がんばれよ






ありがとう。

ありがとう。

ほんとうに。






マッチはチッと擦れて

すり変わった欠片だと気づく

ここに灯火があるならば

他のものなど意味をなさぬと

鱗の燃えかすに綴ってあったことば

大切にしよう


そうか、明日は母の日で

親父の誕生の日でもある

いつももらったカフェオレの

粒ほども返せないけれど

いつももらった背中への

翼で飛んでるにすぎないから

せめて小部屋のすみっこに

シクラメンでも飾ってよ


また帰ってきた春休み

僕らに笑顔が咲くように。


自由詩 シクラメンは春まで待っていて Copyright ふじりゅう 2017-12-13 17:02:46
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