御神体は人魚の手
日々野いずる
悲鳴の螺旋が落ちていく
蒼穹を自由に飛ぶ舟は
藻屑と等しくなり
白の破片を散らかばして無人の島を飾る
目が合った他人の女の子と手を取り合って急降下した
握りしめた手は暖かくあり腕は海に浸されその先はなく
その手を引きずってわたくしは
自由な海の不自由な暮らしをはじめた
ここからずっと
ずっと先まであの空の向こうまで行ったとしても閉じた水槽
自由詩
御神体は人魚の手
Copyright
日々野いずる
2017-11-28 15:05:31
縦