透明なゾンビ
一般詩人-

声のない悲鳴が、聞こえる
音のない悲鳴が、聞こえる
ここは静かだ、俺は一人だ
ビルは建っている
笑っている人もちゃんといる
駅前はちゃんと再開発が進んでいる

だが聞こえる
悲鳴が聞こえる
誰かの悲鳴が聞こえる
君の手元から
知らない人の手元から
視線の一メートル先から
あのデジタルサイネージの向こう側から
聞こえる

どこに手を伸ばせばいいのか?
音源はわからない
何かの悲鳴だ
誰かの悲鳴だ

どこに手を伸ばせばいい?
誰かが悲鳴を

昔観たゾンビ映画みたいなんだ
ウィルスで少しずつ身体が腐っていく
人間であるうちで殺してほしいと
叫ぶ登場人物がいただろう

あと半歩ずれれば
君も俺も叫ぶ側だ
食われる方か食う方か
それは知らない


自由詩 透明なゾンビ Copyright 一般詩人- 2017-11-27 19:20:22
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