ミスタードーナツ
やまうちあつし

ドーナツの穴に住み
植物や動物と会話する
周りを囲んだドーナツに
扉が開くことがあり
人が訪ねて来たりする
右手を上げて少しあいさつ
「おはよう」だったか
「おやすみ」だったか
どちらもおなじようなもの
私は祈る
早く帰ってほしいと
私は呪う
いつかまた来てほしいと
円い空の中を
太陽と月と風が横切る
星々が途方もなく長い手を繋いで
無限のように踊ってみせる
私のことを予言者と呼ぶ
あたらしい声
私のことを愚者と呼ぶ
なつかしい声
笑顔は泣き顔のようだと
動物が言う
落胆は希望のようだと
植物が言う
ドーナツの穴に住む


自由詩 ミスタードーナツ Copyright やまうちあつし 2017-11-26 16:49:05
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