水晶の人
ベンジャミン


虚無をまとって闇を隠せば
それは限りなく深い透明のように見える

あなたは
自分を見せることなく
優しさを浮かべた瞳で見つめる

僕は
その優しさの結晶に自分を映す
一つの優しさを共有するように
僕は自分に微笑んでしまう
あなたは
寂しそうに笑いながら
「嬉しい」と
呟く

あなたの虚無は存在する
それは集積した過去を包んでいる

他人の優しさなど
滑らかに受け流してしまえるような
かたくなにまるくうずくまる
あなた

あなたの
その悲しいまでに透明に見える虚無
でもそれがあなたを守っているのなら

僕は
その裏側を見ることなく
ただ
透明に色をのせて
せめて
あなたの本当を見たいと思うのです

たとえそれが僕にとって虚無であっても



   



自由詩 水晶の人 Copyright ベンジャミン 2005-03-15 17:48:29
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