R.I.P.
むぎのようこ

うずまいている
くちびるのはしっこ
うすむらさきの花が咲く
あおむけに
空をながれて、雨になり、
しみてゆく
漂白されたつぼみ、みたいな
女の子
こわれないで
きりきりとはりつめては
えいえんに
循環するしろい
血液の
気化した窓辺から手をつないで
いつも上下さかさまの地図
君のいいわけ

そっと
ぬりこめた灰色
かくさないでいる下肢の
静脈すら透けて
かがみみたく黙ったままで
ふれている
あおいろの孵卵
花のにおいに目覚めて、
ひやりとしろい息をまとう
君の睫毛にも、あさつゆ。
たったまま
景色になる一瞬の彩り

ばらまく
さめざめとなき
かわいている
はなびらを
ひとひらずつめくっていた
ここにはもう
きせつがなくて
しずかにこだました
空洞。
ていねいにみのり
みなもいでは、
はがれるままの
ひかり、

さみしいから
呼吸をする君が
別の生きものみたいに、まぶしい
やわらかくて脆いこと
いとしみ
小さな
いかずちが
ぺりぺりと唇を矧いで
奪う、
ことば

君はしたたか
あきさめのむこうに
彩りを舌ですくっては
したたらせ
骨に沿ってしずかに濡らす
そらの
はれまを縫い合わせては
匿うひかり、
いつか
花束を放るように
なげだしても、わすれない
名前




自由詩 R.I.P. Copyright むぎのようこ 2017-11-09 23:13:22
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