愛しのユニコーン
坂本瞳子

窓硝子に映った一角獣は
怯えることなく
凛としたまま
そこに佇んでいた

白い毛並みは金粉が混じったように煌めき
燃える炎の赤い瞳はつぶらなルビーそのもの
巻き貝を細長く伸ばしたようでありながら
強靭さを誇示する白い一本の角を額に掲げ
目にする者誰もが
その刃でこの身こそ突き刺されたいと
欲さずにはいられないであろう

嗚呼
その美しき蹄で
踏みつけられたい
この屍を乗り越えて翼羽ためかせ
大空に飛び立って行くがいい

私の小鳥よ
嘶いておくれ
太陽へ向かって


自由詩 愛しのユニコーン Copyright 坂本瞳子 2017-10-22 01:08:34
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