雨は沈黙の音を世界に放つ
坂本瞳子

右の肩を少しだけ上げて
顎を窓の方に傾けて
見える景色は空気の色が違う

雨の滴は線になって
薄い紫色を含み
アジサイを想い出させる

ひとしずく
音を響かせて
ほかのすべての音を消してしまう
世界があたかも止まってしまったかのように

ひとしれず
地面を打ちつけている
ただそれだけのことなのに


自由詩 雨は沈黙の音を世界に放つ Copyright 坂本瞳子 2017-10-21 13:11:14
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