臨む空
ひだかたけし
呼ばれている呼ばれている
この水の色開けて明るむ空に
アンテナが視界を邪魔しているが
呼ばれている呼ばれている
片足は泥水に浸かったまま
片手は雲を掴んだまま
己魂急かされて
何かが転がる響き
三畳間の布団の中
枕の上に顎を載せ
迫る予感に当惑し
陶然と待っている
ひたすら耐え忍び
異常なまでの高揚が
孤独の壁走る
異界の熱流の感触が
歓喜の天井引き裂く
呼んでいる呼んでいる
この水の色開けて眩む空を
アンテナに視界が邪魔されているが
呼んでいる呼んでいる
片足は泥水に浸かったまま
片手は雲を掴んだまま
己魂微動だにせず