臨む空
ひだかたけし

呼ばれている呼ばれている
この水の色開けて明るむ空に
アンテナが視界を邪魔しているが
呼ばれている呼ばれている
片足は泥水に浸かったまま
片手は雲を掴んだまま
己魂急かされて

何かが転がる響き
三畳間の布団の中
枕の上に顎を載せ
迫る予感に当惑し
陶然と待っている
ひたすら耐え忍び

異常なまでの高揚が
孤独の壁走る
異界の熱流の感触が
歓喜の天井引き裂く

呼んでいる呼んでいる
この水の色開けて眩む空を
アンテナに視界が邪魔されているが
呼んでいる呼んでいる
片足は泥水に浸かったまま
片手は雲を掴んだまま
己魂微動だにせず


自由詩 臨む空 Copyright ひだかたけし 2017-10-20 17:08:53
notebook Home 戻る