出航
そらの珊瑚
夜のまぶたは
だんだんに重くなる
(誰かの優しい手で撫でられているから)
歯磨きのミントの香りもなくして
完全にこの世界が閉じられて
安らかな眠りを得るまで
安らかな死というものを
ふと考えたりする
小さな舟を漕ぎだす
その手は
あてのないゆきさきをにぎっている
海の夜霧は
だんだんにもやいで
月あかりさえ食べてしまうのに
なぜみんなすべてを置き去りにして
陸地を発ってゆくのだろう
自由詩
出航
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そらの珊瑚
2017-10-10 20:49:54
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