グアム島
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サンゴ礁の海も、青い空も、ここにはない。
しかし、ここはグアムである。
私は、この地に数日間滞在し、明日、日本へ帰ることになっている。
土産物を買うために、私は舗装されていない細い道を歩く。
歩いた先に市場が広がっている。
なぜか、女が同行している。
背が高く、ピンクのTシャツに白いジョギングパンツ姿の手足が長い。
日本語が達者なこの女は、日本人とアメリカ人のハーフかもしれない。
髪が短く、その顔は、東洋っぽいのか西洋っぽいのかはっきりしない。
市場に着いた。
といっても、近代的なものではなく、日本のお祭りや縁日に並ぶ露店のような店が、細い道の両側に、軒を連ねている。
売っているものは、現地の人が食べるような総菜類で、豚の角煮やら青野菜を炒めたものやら。
ますますグアムっぽくなくなるが、それは今になって思うことであり、説明がつかない。
女は、ラフティらしきを三つ買って、レジ袋のようなものに収めてもらう。
私は、ここじゃ、日本に持ち帰るお土産は買えない、と困った気分になる。
「ここじゃだめだ。免税店に連れて行ってくれよ」
「そんなことはどうでもいいじゃない。それより、今夜、私の部屋に来ない?」
女は私の手をとり、そんなことを言う。
ん? ツアーガイドだとばかり思っていたが、この女は娼婦なのか? だとすれば、事の前に、いくらなのか、はっきりさせておく必要があるぞ。
私は、にわかに警戒する気持ちになる。
財布の中の金額を思い、足りないのではないか、と焦り始める。
この辺りで目が覚めた。
窓の外は、暗い。
時計を見ると、午前4時30分。
この夢を忘れないため、枕元のノートにメモをとる。
「グアム島」「背の高いハーフの女」「市場で買い物」とか。
それらの単語を見ながら、この文を書いたわけだが、手繰り寄せれば貴重な何かが出てくる種類の夢かもしれない。


散文(批評随筆小説等) グアム島 Copyright MOJO 2017-09-25 15:43:02縦
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