COSMOS
むぎのようこ
駆けてゆく夜を
つまさきで蹴りあげた
一秒コンマで
加速するみたいに
エスケープ
するりと脱げて
もう
わずらわしいこともなく
褪せるばかり
かしづくまえに
ほどけおちる花束
ゆるやかな加速に寝がえりをうつ
ここでは子どものような
きもち
いつもそうやってねむたい
街のはしで
うるさくないように吸う
空気はいつも正確な季節を混濁する
意識とプラグ
つないで
こころはひとり
みたいにしどけない助手席
おろしたてのヒール
かあいそうにもう縒れてる
髪を風にあそんで
みじかい夏もおわって
海のふちどり
なぞって
しけた花火と
とけた海月が照らす
潮にまぶしたゆびさきの
なめした柔さを
すくう
くちびる
意味もないのにわらったり
して
季節の裾をひくように
咲いたりもする